細菌感染症の治療には抗生物質は欠かせません。
細菌感染の治療に抗生物質は良くない、などとなるとこれは明らかに誤った危険な似非科学情報です。

抗生物質は細菌を自滅させ増殖を防ぎ細菌に侵されているヒトを治すものです。
その必要がある状態の時に、抗生物質はとにかく良くないので使わないという判断は大きな健康被害を被る事になります。抗生物質は細菌はやっつけてもウイルスには無効であることも次の常識として覚えておいてください。
ですが、【カゼには抗生物質は要らない】とよく言われますが、これも私に言わせれば自己矛盾の固まりなような似非医学常識です。
はっきりと言えばカゼという単一の病気はありません。何らかの感染によるいわゆるカゼ症状(喉の痛みや寒気、鼻水、咳など)の初期や原因不明のまま治ってしまった感染症をカゼと便宜的に言っているのに過ぎません。
よくみられるのは溶連菌感染症なのにカゼと、言われていたり、マイコプラズマ他の呼吸器感染症なのに特に初期はカゼと言われていたりします。インフルエンザでさえも最初はカゼと診断させかねません。
だから何が原因かわからないカゼと診断しているのに抗生物質は要らない、と決定することは根拠がないと言うべきです。
大人はすぐには重症化しないので時間の猶予があるのでまだいいのですが、子どもはそんな余裕はないので抗生物質の治療開始が遅れると取り返しのつかない重症感染症になることも昔は珍しいことではありませんでした。肺炎はもちろんのこと肺に膿がたまる膿胸(のうきょう)化膿性関節炎、骨髄炎、全身に箘がまわる敗血症、髄膜炎など挙げたらキリがありません。

このような危険がありながらカゼには抗生物質は要らない(要らないのは効きもしないカゼ薬だ)などと唱えている事に怒りを感じるくらいです。とくに子どもは抗生物質は必要に応じ適切に使用すること。となっていますので親御さんは抗生物質の正しい知識を身に付けて頂き子どもさんを感染症から守ってください。
カゼ症状、発熱では夜間、休日急ぐまでもありませんが2日以内には受診し、熱が下がらない場合には2日後には再び受診するようにしましょう。それ以上間が空くと重い感染症では重症化が進んでしまいます。
最後に抗生物質はウイルス感染には効きませんが、だからといってウイルス感染症で抗生物質は要らないと決めつけてかかるのもとても危険です。
インフルエンザはウイルス感染症ですが死因となる肺炎は肺炎球菌という細菌が原因です。コロナウイルス感染症の死因でみられる敗血症は全身の細菌感染によるものです。
ウイルス感染症だから抗生物質の治療は必要ないなどと考えているならこれもとても危険な考えです。
抗生物質を処方している事を非難しているとしたらそれはやぶのそしりを免れません

ながの小児科